AWSのLightsailを使ってWordPressを運用する際、特に注意するべき点があります。それは、CPUの「バーストキャパシティ」という機能の管理です。
Lightsailでは、このバーストキャパシティというシステムを採用しており、これがゼロに近づくとCPUのパフォーマンスが大きく低下します。
結果として、サーバーが非常に遅くなり、外部からのWeb接続も困難になる可能性が高まります。
AWSのLightsailとは?
AWS Lightsailは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドコンピューティングサービスの一つです。Lightsailの最大の特長は、シンプルさと手軽さにあります。クラウドの専門知識が少ない初心者でも簡単にサーバーやウェブアプリケーションを稼働させることができます。
以下は、Lightsailの主な特徴と利点です:
- 一定料金: 月額の固定料金で、仮想サーバー、ストレージ、データ転送を利用できます。これにより、コストを予測しやすくなります。
- 簡単なセットアップ: 複雑な設定や選択肢を経ずに、簡単なステップでサーバーやデータベースをセットアップできます。
- テンプレート利用: WordPressやLAMPスタックなど、一般的なソフトウェアのテンプレート(Blueprintsと呼ばれます)を利用して、ワンクリックでアプリケーションをデプロイできます。
- 統合されたコンソール: Lightsailのダッシュボードは直感的で、サーバーやデータベースの状態を一目で確認できます。
- AWSリソースとの接続: 必要に応じて、他のAWSサービス(例:Amazon RDSやS3)と簡単に連携できます。
考え方としては、AWSの豊富なサービス群の中でも、特に初心者や小規模プロジェクトをターゲットとした「簡単で手軽なクラウドサービス」と捉えるとわかりやすいでしょう。
AWS Lightsailのバーストキャパシティの概念
AWS Lightsailのバーストキャパシティは、仮想サーバのCPUリソースに関連した概念です。この概念を理解するためには、以下のポイントを順番に追って考えると良いでしょう。
- ベースラインパフォーマンス: Lightsailのインスタンスは、特定のCPU性能(ベースラインパフォーマンス)を持っています。これは、インスタンスが常時持っているCPUの利用能力を表します。
- 短期の性能向上: しかし、一時的な作業や突発的なトラフィックの増加など、短時間での追加のCPUリソースが必要になることがあります。そうした場面で役立つのが「バーストキャパシティ」です。
- バーストキャパシティ: インスタンスがベースラインパフォーマンスよりも高い性能を一時的に出したいときに、このバーストキャパシティを使って「一時的に」その性能を引き出すことができます。
- バーストキャパシティの累積: Lightsailインスタンスは、使用していない間にバーストキャパシティを蓄えることができます。そして、必要なときにそれを使い果たすことができます。
- ゼロになると…: バーストキャパシティが0になると、インスタンスのCPU性能はベースラインパフォーマンスに制限されます。つまり、バーストキャパシティを使い果たすと、一時的な性能の向上ができなくなります。
要するに、バーストキャパシティは、AWS Lightsailインスタンスが一時的に高いCPU性能を出せる「余裕」や「リザーブ」と考えることができます。このリザーブを上手く活用することで、短期的な高負荷にも柔軟に対応することができます。
バーストキャパシティ ギリギリの運用は危険
最近の教訓を皆さんに共有します。
最近、サーバー側で負荷の大きい作業を進めてたのですが、このバーストキャパシティが0に近づくまで利用してしまい、結果的にパフォーマンスが大幅に低下する体験をしました。
このような状況を防ぐためには、バーストキャパシティを常時20%以上維持することを推奨します。
これにより、安定したサーバー運用が可能となります。
数日経過して、ようやく20%まで戻ってきました。今後は100%に戻ったら改めて負荷の大きい作業を進め、20%を下回ったら、バーストキャパシティが戻るまで、手を止めるようにします。